たかがヤマト、されどヤマト | |||||
2012.12.10 モーニングコール6時10分のはずが、間違ったのか5時40分に起こされた。でも、出発は7時10分。この日で最後。成田で買ったワインも飲んでしまったし、お土産はほとんどないし、捨てる予定のものばかり着ていたので、二人で1個のスーツケースはとても軽くなった。 最初に行ったのはアグラ城というところ。16世紀に建てられ、タージ・マハルを建設したシャー・ジャハーンが息子によって幽閉された城だ。赤い城壁が朝日に照らされる。ここへも、我々が一番乗り。 混み合うタージ・マハルへ先に行くのが普通だと思っていたが、ここへ最初に来たわけは、こういうことだった。こんなタージ・マハルがあるとは想像もしていなかかった。 アグラ城の次は、いよいよタージ・マハル。タージ・マハルは、さすがに人が多かった。写真を撮っていて気がついたのは、富士山と同じということ。面白みがないかもしれないが、真正面から撮るのがもっとも美しい。でも、真正面というのも、真ん中で水平でなければならず、混み合った中で撮るのは難しかった。 どこから撮っても、タージ・マハル。ミナレット(尖塔)は、垂直ではなく外側に向かって開いて立っているように見えたが、実際、垂直ではないとのこと。ガイド氏によれば、地震が来て倒れても、内側に倒れないようにわざとそうしているそうだ。が、地下水の汲み上げによる地盤沈下が原因という説もある。 花壇があるかと思ったがまるでなく、チョウなどいないと思ったが、帰り際、シロチョウが飛んで来て日向ぼっこを始めた。翅裏も撮ろうとしたが、飛ばれて失敗。 タージ・マハルの後、アグラ郊外にある世界遺産の城跡に行く途中、昼食のため、野外レストランに立ち寄った。バスがその駐車場にはいったとき、シロチョウと茶色のタテハが目にとまった。急いでバスから降りたがすでにおらず。中のテラス席に着いた後、食事が運ばれてくる前と、食後に、近くのチョウを捜した。 シロチョウが飛んでいたが、その前を横切る小さなシジミチョウ。とまったので見ると、大きさ、後ろの裏翅の斑紋の列もヤマトシジミそっくりだった。すぐ飛ばれたが、近くにとまり開翅。ずいぶん色が薄く、灰色がかっているので鱗粉が剥がれているのかと思ったが、縁毛は新鮮。インドのヤマトだ。 先ほどのシロチョウ、いつものやつだった。カバマダラもいたので撮った。 駐車場に行っても先ほどのは飛んでおらず、その横にゴミが散乱する空地を見ると、キチョウが飛んでいた。2頭いたがとても敏感でまともに撮れなかった。しかし、変なタテハがテリ張りしていて、とまって翅を開いた。 このときは、名前は当然判らなかったが、ルリボシタテハモドキというらしい。場所を変え、開翅してくれたが、ブルーの紋が見えるか見えないかは大違い。このブルーが見えなかったら、こんなにドキドキしなかったに違いない。 ルリボシタテハモドキはもう1頭いた。というか、もう1頭飛んできたとき、2頭ともどこかへ行ってしまった。そして、違うタテハもいた。あとで、ジャノメタテハモドキと判明。 この空地にいたキチョウ、ウラナミヒメジャノメより2まわり小さなジャノメチョウ、なかなかとまらなかったメスアカムラサキ。 もっと時間が欲しかったが、残念。しかし、20分で撮ったにしては十分納得。というわけで、次の世界遺産は、ファテーブル・シクリという16世紀に造られた都市遺跡。アグラから40km。 この遺跡の中庭でシロチョウとヤマトシジミよりはるかに小さいシジミチョウを見たが撮影できず。しかし、バスの駐車場近くは林になっていて、何種類かチョウが飛んでいた。しかし、撮影できたのは、いつものシロチョウと、それより二回り小さいシロチョウだけ。カバタテハと思われる茶色のタテハは撮り損ねた。集合までのつかぬまのひととき。もう5分欲しかった。やはり、郊外だとこんなにいるのか、少し悔しかった。 この後、アグラまで戻ったわけだが、街の喧騒は月曜日なのに前日の日曜日と変わらなかった。 アグラからニューデリーまでは200km。この間には、片側4車線の高速道路がひかれていた。しかし、高速道路だというのに、なぜか、自転車が走り、満載の荷の上に人が載っているトラック、分岐点では人が立ち、追い越す車もルールなしのサーキット状態。幸い、交通量がとても少なかった。高速道路の周りはずうーっと菜の花畑。夏は田んぼらしい。走り続けるバスの中から撮影した。 200kmなので2時間で着くと思っていたが、どうやら思ったよりスピードが出ていないらしい。途中で日が沈んでいった。 番外編 1.大理石の象嵌細工の皿。とても高価。左に半分だけ写っている四角の皿。手のひらサイズで90万円くらい。1人の職人が、この1個で数か月かかるという。はめ込みが細かいほど高価。この中くらいの皿は値段を聞く気もしなかった。2.昼食の野外レストランで食べたカレー。普通はカレーのバイキング。カレーも日本ほど辛くはない。ナンはどこでもとてもおいしかった。3.車では左側通行。信号は少なく、ローターリー。どこでも渋滞で、先に突っ込んだほうが勝ち。ただ、阿吽の呼吸があるらしく、ぶつかることは少ないようだ。今回のバスの運転手は、いつもターバンを巻いているシーク教徒の方。ものすごく運転がうまかった過去最高。因みに過去最悪は中国。4.この地方では、日が沈むと、這うように地上数メートルの高さに雲がたなびく。夜にだんだん厚みを増して、朝には霧状の霞になるようだ。タージ・マハルが雲の上に浮かぶのはこの時期だけかもしれない。5.高速道路のパーキングにあったゴミ箱。なぜ、これを撮ったかって?ゴミ箱のロゴに注目。6.高速道路のニューデリーの出口。あちこちから車が集まり、大渋滞。対向車線もすごかった。(番外編だけ、こんな長い説明ですいません。世界遺産については、ネットで調べてください。たくさん出てきます) 実質3日間だけのインドであった。色々不思議が多い国でしたが、ひとことで言うと、ウーン、面白かった。ガイド氏に、「もう一度インドに来たいですか?」と聞かれ、総勢22人のうち手を挙げたの方は1人もおらず。みなさん、あちこち行っておられて、インドだけが残っていたという方ばかり。私はというと、チョウがもっといたら考えてもいいかなというところ。インドの現実は厳しい。でも、百聞は一見にしかず、行ってみないとわかりません。それにしても、毎日見ていたシロチョウ、なんという名前か、調べても出てこず、ちょっと気になる。
by otto-N
| 2012-12-21 17:55
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Comments(14)
霧に霞むタージ・マハル、うっとりするくらい美しいですね。
日本に類似した蝶のいないルリボシタテハモドキは ドキドキするでしょうね、きれいな模様が印象的です。 インドにもヤマトがいましたか?
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生憎の雨模様ですね。
インド旅行素晴らしいですね。 建物をとっても上手いもんですね。流石です。 こうやって外国のチョウを見せられると、行きたくなりますね。 色々と参考になりました。有難うございました。
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otto-N
at 2012-12-22 18:29
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HOUNOKIさん、朝もやに浮かぶタージ・マハルは、想像もできませんでした。もし、このような絵を描いても、空想だと言われるでしょうね。
ルリボシタテハモドキは、このアングルでシャッターを4回切ったのですが、3枚は眼のピンをはずしてました。きっとドキドキしていたんだと思います。 カタバミは咲いてはいませんでしたから、ヤマトシジミの近縁種でしょうね。アウェイでは意地でも捜します。見つけてよかったです。
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otto-N
at 2012-12-22 18:37
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旅友さん、こんな景色があるとは驚きました。なぜ、ガイドが初めにタージ・マハルに行かず、アグラ城に行く理由が理解できました。素晴らしかったです。
旅行中に撮ったチョウは、普通種といえども、どこでどういうときに撮ったか、食べたものよりもよく覚えています。 でも、思ったようにはなかなか撮影できませんね。
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otto-N
at 2012-12-22 18:50
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ごまさん、雪が途中で溶けたような雨でしたね。明日は晴れそうですが、ヤマトも出なくなったので、久しぶりのテニスにします。
インドは、昔から一度行ってみたかったのですが、「お独りでどうぞ」と言われ続けていました。行けてよかったです。 チョウ写真を本格的に撮る以前にも、海外旅行中にチョウをコンデジで撮ってましたが、なかなかいるもんではなかったです。 もし、たくさんいたら観光どころではないでしょうし、色々たいへんです。チョウだけを目的に旅行してみたいです(国内を含めて)。
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himeoo27 at 2012-12-22 19:52
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otto-N
at 2012-12-23 17:50
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himeooさん、なるほど、そういう見立てがありましたか。思いもつきませんでした。なるほどです。
実は、このチョウの名前は、「タイ・タテハチョウ」で検索してやっとわかりました。南国のチョウだったようです。
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thecla
at 2012-12-24 16:34
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ついつい蝶の撮影がメインで出かけてしまいますが、旅行の合間の撮影も良いものですね。インドは一度行ってみたいと思っていますが、女房がNGで、勝手に一人で行って、てな感じです。
それにしてもルリボシタテハモドキ、の瑠璃色はドキッとするような瑠璃色ですね。
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otto-N
at 2012-12-24 20:07
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theclaさん、旅行の合間はキビシイものがありますが、もし背景が世界遺産であったなら申し分ないところ。背景を入れて撮る練習もしなくてはとつくずく感じました。
ルリボシタテハモドキの瑠璃色が見えたときは、撮り逃がしてなるものか、ほんとドキドキものでした。 ツアーには単独参加の男性が3名おられましたが、みなさん、「お独りでどーぞ」参加のようでした。でも、モロッコも色々と厳しかったですよ。
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otto-N
at 2012-12-25 09:43
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naoggioさん、こちらこそ、コメントありがとうございます。
とりあえず撮った絵葉書もどきの画像ばかりで恐縮です。綺麗なところと汚いところ、金持ちとビンボーのギャップを実感しました。banyanさんがおっしゃるように、ビンボーのところが面白そうでしたが、入り込む時間がありませんでした。 ルリボシの全開で吸蜜している画像を見つけました。周りが黒い中に大きな瑠璃紋が燦然と輝いていました。でも、ちらっと見えるのがいいかもです。
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owlj
at 2012-12-26 14:50
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otto-N
at 2012-12-27 20:00
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owljさん、まだ暗いうちに起きるのは久しぶりでした。
朝もやが立ち込める中のタージ・マハルは、全く思ってもみなかったので、とても嬉しかったです。 ルリボシタテハモドキは、黄色い部分がなぜかインドを感じさせてくれるチョウでした。 3日間の駆け足でしたが、行ってよかった。とても楽しめました。
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