たかがヤマト、されどヤマト | |||||
2013.10.7 南アルプスの仙丈ヶ岳(3033m)に登る計画があり、いつにするか天気待ちだった。台風が2個発生しており、この影響がないうちにと、行く日を決めた。登る日は10月8日。いつものように、山の近くに前宿し、日帰りで登る予定。この日の宿泊は、南アルプス林道の伊那側にある仙流荘とういう温泉旅館。というわけで、山梨県のクロツバメシジミを見に少し寄り道をした。 山梨県は晴れの予報だったが、この日の東京は曇り。ほんとに晴れているのか半信半疑だったが、笹子トンネルを抜けると日が出ていた。クロツバメシジミのいるツメレンゲのある石積みに向かう。現地に着くと、ツメレンゲはポチポチ咲いているものの満開はこれからのようだった。クロツバメシジミはというと、数は多くはないが、あちこちで飛び回っていた。暑いせいか、なかなかとまらない。とまっても翅は半分しか開かない。新鮮な個体を探し、なんとか撮影した。 交尾カップルも次々見つかるものの、なかなか撮影条件が厳しい。というのは、ツメレンゲの咲いている場所は、石積みの側面ではなくて堤防状になった幅数メートルの平面部分。ツメレンゲがびっしりと生えているわけではなく、どちらかというと、かろうじてツメレンゲが残っているという場所。とにかく、ツメレンゲを絶対踏まぬように、大きめの石に足をのせて移動する。当然、屈み込む場所も限定される。 同じカップルかと思ったら、斑紋をよく見たら違っていた。 晴れて気温が高いので、開翅が期待できず、少し翅を開いたときのレインボウ・リフレクションを撮ろうと思っていた。けれど、とまる個体は少なく、諦めた。ただ、交尾個体は、別のオスが絡んできたとき、翅を開くことに気がついた。そこで、前のほうに回り込み、なんとか少し開くのを待ったけれど、残念ながら太陽との角度が合いませんでした。もう少し体を動かす余地があればよかったのですが。 交尾個体を撮っても面白くもなんともないけれど、他のオスが絡んできたときは例外。2頭とも、必死に翅を拡げ威嚇する。 とにかく、オスは飛び回ってばかりいるので、足元に飛んで来たオスを飛翔撮影することとした。追いかけて撮りたいところだったけれど、足の移動さえままならない場所。足元に来たのだけ撮った。枯れてしまったツメレンゲも目立つ。 一面にツメレンゲが生えている場所ではなく、むしろ、ツメレンゲがまばらな場所を飛び回っていた。もっとも、ツメレンゲの多い場所には立ち入る足場がなかったせいもある。それにしても、石や土ばかり目立つ場所で黒いチョウを撮ってもイミないかもしれない。なにしろ、PCで見てもどこにクロツが写っているのか判らないほどだった。 飛翔を撮りながらとまったらマクロでといういつものパターンで撮影していたら、翅を開くものが増えてきた。と思ったら空には薄い雲がかかっていた。 とまって翅を開く場所は、たいていこんな石の上。 またもや、石の上。無彩色の世界。 土の上。少しアングルを変えて撮ったが、緑が欲しい。 石積みの角。上から覗き込む。 屈み込みっぱなしで脚がいたくなったので、立ちあがって休んでいたとき、咲いていたツメレンゲにとまったのがいた。行ってみると、翅を開いて吸蜜していた。マクロで数枚撮った後、はたと気がつき、広角をつけたほうをMFからAFに切り替え、撮影した。このレンズ最小距離27cmなのであまり近づけなかった。 100ミリマクロでとったほう。少しずつ位置を変えながら吸蜜していたので、33枚も撮ったけれど、縁毛まで写っていたのはこの1枚だけだった。黒いのでピントが合いにくいせいもあったが、窮屈な不安定な姿勢で撮っていためシャッターを切る瞬間に前後に動いたのだろうと思う。危ないところだった。この撮影中、「1時間がすぎましたよー。もう出ますよー」と、妻の声。もっと撮りたかったけれど、まっいいか。 昨年にこの場所に来たときは、ツメレンゲの花はとうに終わっていた。今回、まだ少し花には早かったかもしれないが、オスはとても新鮮だった。ここのツメレンゲは、昨年は盛りをすぎたので枯れたものと思っていたが、かろうじて生育を保っているという感じだった。一面にツメレンゲがあると壮観なのだろうと思うと、ちょっと淋しかった。ツメレンゲの生育環境がどんどん悪化していると聞く。撮影にも注意が必要だった。
by otto-N
| 2013-10-11 15:30
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Comments(10)
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himeoo27 at 2013-10-12 08:09
ツメレンゲ数が少ないようなので今後が心配なポイント
ですね! 交尾ペアにちょっかいだす雄の一連の飛翔写真楽しみ ました。
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こんばんは。
写真を拝見すると、石と石の間にツメレンゲが生育しているようですね。 私が撮影に行くポイントは、急勾配の人工的な崖地です。 同じ蝶でも、いろんな生息環境がありますね。 黒い翅のクロツバメシジミの飛翔は、見応えがありました。
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otto-N
at 2013-10-12 19:36
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himeooさん、ツメレンゲの咲く場所は、この他2か所しか見ていないので、これが淋しいのかこんなものなのかよく判りません。
他のチョウの場合もですけど、カップルへのちょっかいはホントに面白いですね。 ちょっかいが成功した場合は見たことありませんが、どうなんでしょうか。
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otto-N
at 2013-10-12 19:47
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HOUNOKIさん、今、ブログを拝見しました。見事な写真です。
ツメレンゲの生育する場所は石垣が多いようですね。低いところにとまってくれると撮影はしやすいですが、高ければ大変ですね。一度経験しました。 そちらのツメレンゲは、栽培種のように葉が厚くて綺麗ですね。飛翔も、こんな光あふれる美しい背景で撮りたかったのですが、関東では厳しいのかもしれません。
お元気ですねえ。仙丈岳日帰りですか、
若い頃でも私には無理です。 仙丈は2回登っていますが2度目は家族で行き、娘が高山病にかかりました。 でもおおらかな素晴らしい山なのでもう一度くらい登ってみたいです。 クロツの写真素晴らしいです。殊に飛翔はいいですねえ。
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otto-N
at 2013-10-13 20:36
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Akakokkoさん、ツメレンゲの咲く場所はあまり知らないのですが、開花時期は、場所により違うようですね。
今回は登山のついでに立ち寄っただけなので、まだ少し早いようでした。
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otto-N
at 2013-10-13 20:42
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naoggioさん、仙丈ヶ岳はガイドブックより全然短時間で登れました。
私より妻のほうが健脚で、いつも、写真を撮りながらその後をついて行ってます。 クロツは、またもや1時間ほどしか撮れなかったのですが、満足してしています。 飛翔はヤマトより楽かもしれませんね。
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otto-N
at 2013-10-14 20:16
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虫林さん、短時間しか時間がとれなかったのですが、ポイントが狭いことと、クロツが多すぎもせず少なくもなく、新鮮な個体が多く、さらに途中で日が翳り、背景はともかく漆黒の翅を撮ることができ、とても効率よく撮影することができました。最後のツメレンゲ吸蜜は格段と嬉しかったです。
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