たかがヤマト、されどヤマト | |||||
2016.8.10 前日、ゴマシジミとムモンアカシジミを撮影した後、峠を越え隣の高原でヤマキチョウを探したが、汗と徒労に終わり、少し離れたゴルフ場併設のホテルに泊まった。さすがに標高1000m、この夜も涼しく、二晩続けての快眠。 この高原は、想像したのと違って、つかみどころがない感じ。食草のクロツバラは見当たらず、花壇の花やその辺の花にやって来るヤマキチョウをひたすら探すしかないようだ。前日、捜した場所では、それらしきチョウが遠くに飛んでいたし、私は撮れなかったけれど、1人はホシチャバネセセリを撮影したので、手ぶらでは帰るわけにはいかない、と意気込んでホテルを出発する。 国道沿いのコンビニでSさんと待ち合わせて、まずは、前日行かなかったポイントで探す。だが、全く見つからず。あちらこちらで飛んでいたのはホシミスジ。 ホシミスジの飛翔を狙ったが、背景は狙いどおりにはいかず。ここには、コミスジもおり、ホシミスジとコミスジの混生地らしい。オオミスジも多かったが、とまりそうでとまらず、結局撮れずに終わる。ジャノメチョウの飛び立ちは偶然。目を点にして黄色いチョウを探すも、モンキチョウばかりだった。 11時すぎ、諦めて、前日にホシチャのいた場所に行く。ヤマキチョウはどこから現れるか判らないので、ばらばらになって見張るが、ただただ暑いだけの時間が過ぎる。12時が過ぎたころ、ヤマキチョウのメスが現れた。あわてて駆け付けるが、すでに遠くを飛んでいる。どうやら、ススキの藪の中のクルマユリが目当てらしい。藪を掻き分け、ススキの間からユリにとまったヤマキチョウにシャッターを切る。ユリでの吸蜜は頭が花に潜ってしまうし、ピントが合う前に飛ばれ、追いかける、飛ばれ、追いかける、の繰り返しだった。 なんとか頭が出ていたのは、ナデシコ吸蜜のこの画像。ただし、横がうるさいので縦型にトリミング。翅が汚れていると思ったら、ユリの花粉だった。 メスが飛び去ってしばらくした後、前よりも黄色いのが、遠くに飛んでいるのを見つけた。オスらしい。見失ったので、手分けして探す。まず、ユリの花。今度もユリ目当てのようだ。しかし、蜜が少ないのか、息せき切って駆け付けて、ピントを合わせている間に飛び去ってしまう。何度も同じことを繰り返し、やっと撮れたけれど、左に写っていたのは枯れて変色したユリの花。これも横をカットせざるをえなかった。それにしてもピンが甘い。 その後、空が曇ってきたと思ったら、吸蜜モードを止めて草の間に入り込んでしまった。近づいても最初はどこか判らない。やっと見つけ、前の草を少しずつ鋏で切りながら近づいたが、もう少しという所で飛ばれる。その時は、空が明るくなっていた。飛んで、また、藪の中に入る。晴れると飛び出すが曇ると葉陰に隠れてしまうと聞いてはいるが、まさにその通りだった。 そっと近づいたが飛ばれ、またススキの葉陰。隙間から何とか撮ろうとして、1回だけシャッターを切ったら、とてもいい感じに写っていた。 このオスが飛び去った後、メスが遠くで飛んでいたが、それっきり。四人とも、暑さでぐったりしてきたので、13時、ここを撤収。蕎麦屋で昼食後、セセリを撮りに移動する。そこで、最初に見つかったのはムモンアカシジミだった。 セセリはヒメジョオンで吸蜜しているという。葉の上で休んでいるセセリを見つけた。スジグロチャバネセセリ♂のようだ。 翅を閉じるのを待っていたが、近くのヒメジョオンで吸蜜し、飛んでいってしまう。 今度は新鮮。開く前に、裏翅を撮っておく。 すぐ開いてしまった。今度は、ヘリグロチャバネセセリ♂らしい。 ここで見たチョウたち。いつまでもべったり開翅のシータテハ、ジャノメチョウ、クロヒカゲ♀。オニグルミの樹上ではオナガシジミが飛んでいたが、下には降りて来ず。また、オオヒカゲも飛んでおり、なかなか楽しい林縁だった。 15時すぎ、まだ明るく、他のチョウも出て来る感じだったが、帰りの渋滞のこともあり、この場を後にし、Nさんご夫妻に最寄まで送っていただいた。Nさんの奥様は、作家の柴田よしきさん。今回もお世話になってしまいました。Nさん、柴田さん、松本のSさん、とても楽しい3日間の撮影でした。本当にありがとうございました。 追記: クルマユリで吸蜜するヤマキチョウを撮っているとき、突然、1枚の写真を思い出した。あのヤマキチョウはここで撮影したのか! 7月下旬、突然亡くなったたI さんが、昨年の日本チョウ類保全協会の写真展に出品された「ヤマキチョウの黄・クルマユリの赤・青空のブルー」の派手な作品。会場で、まるで交通信号ですねと言ったら、これでいいと軽く返された。この数か月前、写真展に出そうとしたクジャクチョウの画像のトリミングに迷い、I さんに相談したところ、トリミングされて生き返った写真と、ヤマキチョウの未圧縮の写真が送られてきた。底抜けに明るい三原色で構成されたヤマキチョウは、今年撮られた多数のヒサマツの画像とともに私の宝物となっている。
by otto-N
| 2016-08-21 20:08
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Comments(2)
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