たかがヤマト、されどヤマト | |||||
2016.11.28 ムラサキツバメが集合する季節になってきた。千葉の公園に出かける。晴天の予報だが、曇ったままだった。寒くて、葉上に寝ているムラサキツバメを撮るしかなかった。 例年集まるカクレミノには1頭もいなかったけれど、このシラカシは健在だった。今年も、小さな葉にぎっしりと集まっていた。 このクヌギの葉に集まっていたの初めてだった。しかし、葉が落ちるのは時間の問題。日当たりもいいけれど、風も強い場所。 昨年、人為的に散らされた大集団があったが、今年は集団を形成しておらず、付近にもまるでムラツはいなかった。そのかわり、その場所から比較的近いところで、新たな集団が見つかった。冒頭の4コマ目と同じ塒だが、少し明るくなった時、1頭がこの塒に潜り込もうとして飛んできた。しかし、すぐには入ることができず、しばらく付近で翅を拡げていたが、最後には潜り込みに成功した。少し射した日も再び翳り、気温も上がらず、ムラツは動く気配はなく、この日はこれで撤収。 2016.11.29 晴れの予報。現地に着いたものの曇り空。前日、低いタイサンボクにいた1頭に近づきすぎ、葉を揺らしてしまった。フラフラと力なく飛び出したオスが、とまった先は岩の上。翅を開くはずはないと思っていたが、開いてしまった。あわてて300ミリで撮影する。近すぎたので、ザックから100ミリを取り出している間に飛ばれてしまった。 前日、1頭が潜り込んだ塒を真っ先に見に行く。しかし、1頭もいない。前日は14時まで曇っていたので飛び出すことは考えられず、この日も寒い曇り空。変だ!と思っていたら、足元からフラフラとメスが飛び出し近くの植え込みにとまり、動こうともしない。少し明るくなった時、別なメスが地面で翅を拡げ、さらに飛んできて木の幹で翅を拡げるメスがいた。こんな傷は初めて見た。そして、足元の枯葉の間に紫色に光るものが・・・。死骸だった。散策路を改めてよく見ると、踏まれたのか、路面にぺしゃんこに張り付いた死骸、さらに枯葉の上に2つ、合計5頭の死骸を見つけた。一緒にいたFavoniusさんと拾い集め、木の根元に埋める。チョウの習性を知らない何者かが散らしてしまったにことしか考えられない。暖かい時なら飛んで戻ってくるけれど、寒い時には飛ぶことさえできず、下に落ちるしかない。落ちた個体は、寒さで身動きもできなかったのだろう。その後も、塒を作っていた葉の上は空のままだった。 別のポイント。午後からは日が射し、集団から飛び出した個体が近くで翅を拡げていた。しかし、太陽が低すぎ、オスは撮影のしようがなかった。 塒に戻る前の日光浴中のオス。その周りで飛び回っている個体があった。遠かったので小さくしか撮れず、縦にトリミング。 2016.12.2 死骸が散っていた塒には1頭も戻っていなかった。諦めて、クヌギの集団を見に行くと、天気がいいからか、朝早くから、塒からは半分が飛び出したようだ。積もった枯葉の上にとまると、まるでどこにいるかわからない。 付近には、飛び出したはずのムラサキツバメは少なく、ムラツよりムラシが目についた。 どちらを撮るか迷うところ。 やはりムラシか。オスのブルーは鮮烈。 ムラツ♀。 もう1つのトラブル。朝、立ち寄った時には、シラカシの塒はもぬけの殻だった。昼ころ、日が当たるようになって少し戻ってきたけれど、朝に飛び出したにしても、全部が出払うということは考えにくい。やはり、やられたのだろうな。 2016.12.8 気温がやや低いながらも晴天。現地に10時すぎ到着。ムラサキツバメの塒を見て廻ったがさんざんだった。シラカシの集団はゼロ、クヌギの塒は葉ごと落ちてしまい、残されたのは2か所のみ。その1つはいつも真っ暗と思っていたら日が射しこむ一瞬もあるようだ。もう1つのほうは、葉に日が当たっても、塒には日が射しこんでいなかった。それにしても、空になった塒に戻ってくることがあるのだろうか。これで今年は終わりとは早すぎるし、悲しい。 広い場所でオスが飛び回っていた。飛び立つ前の表翅がピカピカだったので、少し後をつけたが、翅は開かずに終わった。飛びまわり吸水している個体がいたので、もっと飛び回っているに違いないと思ったのは錯覚。オスはこれしか見なかった。諦めが早過ぎたが、結果論。 寒いせいか、飛んでいるムラツは皆無。そんななか、ヤマトシジミがいた。ここではとても珍しい。ボロボロだったけど、ちょっとはカッコよく撮れた着がする。 飛んでいるチョウはおらず、カワセミがいたので撮る。いつも同じ枯葉の場所で日向ぼっこをしている猫。 帰り際、アオキの葉の上で、メスが長々と日向ぼっこをしていた。これが、この公園での今年最後のムラツかもしれない。 P.S. 石の上のムラサキツバメ。トリミングしましたが、コントラストを調整する前のJPEG原画です。
by otto-N
| 2016-12-10 18:20
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Comments(8)
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fushiginomori at 2016-12-11 00:26
ムラサキツバメ、集団になるだけに、越冬時は保護したいものですね。
暖かくなったり、11月に雪が降ったりと天候も異常ですから、 蝶たちにも暮らしにくい世の中になってしまったのでしょうか?
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otto-N
at 2016-12-11 20:34
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fushiginomoriさん、大きな集団はなくなりましたが、気温の上がった9日には、たくさんのムラサキツバメが現れたとのことです。
毎年、大集団は自然に消滅したり人為的に消滅したりしますが、翌年の秋には数が減ってはいないようで、チョウは人が考える以上にたくましいものかもしれません。 ただ、無理やり塒を散らすことには困りますね。
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保全協会 s
at 2016-12-12 18:06
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otto-N
at 2016-12-12 20:51
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保全協会sさん、頭の方から撮らなければ構造色が出ないのですが、この時は曇り空なので、ペンタの付属ソフトでコントラストを上げてみました。
色相は全くいじっていないのに、こんなにブルーになるとは思いませんでした。 ムラツ♂は、光線の入射角と反射角とレンズ位置の微妙な関係で構造色の出る出ないが決まるようですが、個体差であることが否定しきれません。 2年前、頭側から撮らなくても、見たことのない紫色に輝いたことがあります。 ムラツ♂は、楽しみの多いチョウです。
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保全協会 S
at 2016-12-13 09:44
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otto-N
at 2016-12-13 20:30
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保全協会Sさん、トリミングをしましたが、付属ソフトでコントラストを調整する前のJPEG原画を追加しました。
千葉の公園では今年もたくさんの越冬集団が見られたんですね。
ムラサキツバメのオスの翅表がきれいですね。 この色合いがあり得ないようなお話がありますが、このくらいのオスは珍しいですが、たまには目にしますし、もっと緑色の個体も撮影したことはあります。 単にその方が見たことがないだけでしょう。 それともムラサキツバメの構造色について、何か学術的な研究でもされていて、その結果としてあり得ないというお話なんでしょうか。 それに、レタッチのことにも触れられていますが、そのことの是非はともかく、jpegでの撮影でも必ずしもそのままの色が出ているとは限らないので(メーカーによって色の処理の具合は開発者の考えがかなり入っています、RAWでもこのことは言えると思います)、完全な自然のままということになると収差が0のレンズと、画像処理エンジンについてまで考えないといけないですね。 何よりも、写真というのは個人の自由な発想で楽しむものですから、学術的な写真か何かで、これが完全に自然のままの生物写真だということでない限り、自分の考えを押し付けるのはいかがなものでしょう。
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otto-N
at 2016-12-14 20:28
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ダンダラさん、残念なことに大集団は消失してしまいましたが、暖かい日にはたくさん飛び回っていたとのことで一安心しました。
白とびが怖いため、いつもEV調整でアンダー気味に撮っていますが、逆光時やアンダー過ぎた画像の処理には苦労しています。 RAWで撮ることは滅多にないのですが、確かに、JPEGそのものも色合いが各社によって違いますね。 私の場合、生態ではなく、チョウの美しさやカッコよさ、可愛らしさ等を観点において撮影していますので、気に入ったチョウを性懲りもなく撮っています。
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