たかがヤマト、されどヤマト | |||||
2013.7.17 続き ガスが晴れない登山道。山は見えなくても花が次々に現れる。それを撮りながら登るわけだけれど、実は、とても苦しい。シャッターを押す瞬間は息を止めなくてはいけないし、なによりも、丈が低いので屈まざるをえない。立ち上がるたびに深呼吸し、妻に追いつくために駆け上がりに近い。雪渓近くの木の間には、シラネアオイとエンレイソウの群落があった。エンレイソウは地味だが、個体によって緑色が微妙に入り込み、よく見ればとてもいい花だった。その個体差に気づき何枚も撮ってしまった。 キヌガサソウ、ショウジョウバカマ、イワカガミ、ミツバオウレン。 丸山ケルン(2080m)に着いたのは10時40分。その上では、灌木地帯の木が低くなり、ハイマツに変わる。 おなじみのチングルマ、アカモノ、ハクサンイチゲ、クロユリ。 相変わらずガスは消えてくれないが、ときどき谷の向こうが見える。 登山道の左側の方がガスが深いようだった。ガスが立ち込める崖の狭い登山道の曲り角で、3人の登山者が携帯をかざしていた。何かを撮影している様子。すぐには分らなかったが、なんと、近くにライチョウがいた。オスだけと思ったら少し先にはメスも。全然逃げない。 じっとしているわけではなく、ときどき移動する。そしてメスがオスに近づいてきた。 その後、メスは岩陰に行ってしまったのでオスを撮り続けた。一瞬、体を膨らました。それにしても、逃げない。 ライチョウばかり撮っていてもしかたがないので先に進むと、すぐ唐松岳頂上山荘だった。山荘手前にはシナノキンバイ、名前不明のとても可愛い花。山小屋を過ぎ、唐松岳山頂に向かう途中には咲いていたコマクサ、クモマスミレ。 頂上に着いたのはちょうど12時。ガスで何も見えず、風も少し出ていた。ガスの中、記念写真を撮ったあと、岩陰で昼食、と言っても前日に用意したコンビニのおにぎり。そして、そそくさと下山。そして、驚き。 先に歩いていた妻の足元から赤いものが飛びあがった。一瞬、ベニシジミかと思った。えっ、嘘という感じだった。風にあおられ、翅を開きながらよたよたと這い回っていた。風があり、動き回るのでなかなかピントが合わなかった。 石の間に入り込もうとするので、指に載せ小石の上にとまってもらった。 そして、なんとか半開翅も。 ずうーっと屈みこんでいたので、膝は痛くなるし寒くなってきた。なかなかいいポーズをとってくれないので根負けし下山することにした。山荘前で休んでいると、一瞬、ガスが切れた。でも、ほんの一瞬だけ。唐松岳の山頂は見えず。 下山するにつれ、少しずつガスが晴れてきたようだった。山頂は見えなかったが、かなり谷間が見渡せた。 下山の途中、シラネアオイの群落があったあたりで、ヒオドシチョウが白樺?の小枝にとまって吸汁していた。しばらく待っていると、隣の枝に移り、翅を開いた。 かなり下ったところで、五竜岳のほうもガスが切れてきた。しかし、山頂は姿を現すことはなかった。 最終リフトの山頂駅に着いた15時ころ、雨がポツリポツリと降り始め、ゴンドラ山麓駅に着いたころにはすっかり本格的な雨。 ホテルに帰ってビールを飲んでいると、雨が止んだので、昨日のゲレンデに行った。そこで、またしてもウラクロのオスらしいのを目撃。また、昨日同様、ルリタテハのテリ張りを確認。ヒメシジミはかなりスレた個体しか見なかった。
by otto-N
| 2013-07-24 20:18
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Comments(14)
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himeoo27 at 2013-07-24 20:39
学生の頃、子供たちを連れた雷鳥♀を北アルプス山系
で良く観察しました。♂とのペアの写真も素敵ですね!
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ライチョウのペアの2枚目、いい写真が撮れましたね。
オスのポーズといい、背景の白骨化したハイマツの根といい、そうはないチャンスだと思います。 タカネヒカゲ、私は表を撮影した事がないので羨ましいです。 また登りたいものですが、いやはや・・・
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thecla
at 2013-07-24 22:52
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otto-N
at 2013-07-25 12:34
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himeooさん、今回、山登りで会った方たちは、子供を連れた母鳥にはよく出会ったけれど、ペアは珍しいとおっしゃっていました。
昨年、北海道の山の中で、エゾライチョウに遭遇しましたが、写真を全く撮らなかった失敗を思い出し、今回は真面目に撮ってみました。
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otto-N
at 2013-07-25 12:42
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HOUNOKIさん、最近、旅行の写真を撮っても、後で何もしなくなったので、ブログに載せてます。
ただ、チョウの1頭も撮れずに終わると、ブログ記事が書けなくなります。 タカネヒカゲは予期せぬ出来事でしたが、後で調べると、今がシーズンなようですね。
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otto-N
at 2013-07-25 12:53
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naoggioさん、ライチョウは初めて見ました。というか、こんな高い所には来たことないですから。とにかく逃げないのが不思議でした。
タカネヒカゲは、想定外だったのでラッキーの一言です。 以前にダンダラさんのブログで開翅の写真を見ており、これを見ていなかったら、赤い蛾と思ってスルーしていたところです。 翌々日にも、別な山で会いました。開翅はしませんでしたが。
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otto-N
at 2013-07-25 13:01
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theclaさん、ありがとうございます。
今、「タカネヒカゲ*開翅」で検索したところ、theclaさんのパタパタ開閉の記事がすぐ出てきました。 今回のは、産卵でもないようでしたが、とにかく表を撮れて嬉しいです。 今年は、残雪が多いようで、みなさん簡易アイゼンを持って登っていました。
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Sippo5655 at 2013-07-25 20:57
山野草の名前もたくさんご存じなのですね!
みんな、高山でしか会えないお花たちなのでしょうね。 貴重なお写真を、ありがとうございます♪ タカネヒカゲ・・・綺麗・・・!! アルプスの山々も、本当に清々しい光景ですね!
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otto-N
at 2013-07-26 13:15
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Sippo☆さん、花の名前は、今回は調べました。チョウと違い、すぐ忘れるので困ってしまいます。
撮った花は、少し高い山に行けば見られる普通種ですが、素朴で可憐で撮りあきません。 花が咲いてなければ、山登りは苦しいだけで面白くもなんともないです。 タカネヒカゲは、予期せぬ出来事でした。先に歩いていた妻が一歩違っていたら飛び出さなかったでしょうね。 アルプスの山々は、雲があっての景色です。すべて見えるとつまらないですよー(負け惜しみ)。
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otto-N
at 2013-07-26 13:32
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ダンダラさん、ありがとうございます。
naoggioさんのコメントに書いたように、ダンダラさんのタカネヒカゲの全開翅写真の残像が頭に残っており、とっさにカメラを向けることができました。 タカネヒカゲは山小屋に泊らないと、撮れないものと諦めていたので、とても嬉しいです。 この山での生息数は少ないと思いますが、日帰りで撮影できるチャンスはありますね。
何か楽して登山させて頂いた気分です。
景色も高山植物も素敵です。そして、何よりライチョウカップルがかわいいこと(*^_^*)。一歩下がったメス(!?)が、何ともしおらしい。 タカネヒカゲのお出迎えも最高でしたね...
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otto-N
at 2013-07-27 18:38
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midoriさん、登った気分になっていただいて、記事を書いてよかったです。
ライチョウ、つかず離れず、ほとんど啼き声も出さず、コミュニケーションはどうしているんだろうと不思議でした。 帰りには、さすがにいませんでしたが、可愛いもんですね。 タカネヒカゲ、この2日後、別の山で見ましたが、開翅はしなかったのでホントにラッキーでした。
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